推定IQ70前後の「バカ」と呼ばれた母親

9月のお彼岸に母親が死んだ。母親が死んだのに正直ホッとして、悲しくて泣くことはなかった。母親らしい事は何もしてもらえず、幼い頃に母親に頼ること事を諦めた筆者。現在2人の子を持った筆者が母親に対して思った「やっぱりバカだったんだなぁ」というエピソードを綴っていきたいと思います。

お財布泥棒

おとよさんのことです。

私、犯人が誰か知っていました。

でも、自分の母親だったから誰にも言えませんでした。

今、初めて言います。

 

 

私が中学生の頃の話です。

教会で外国人の牧師が英語を教えてるところが近所にありました。

どうしてそこ通うようになったのかは記憶があいまいなのですが・・・。

おそらく、友達が通っていて、私から通いたいと言ったのだと思います。

親が通わせたということはまずないです。

 

いつも授業の合間におやつを出してくれて、それが楽しみでした。

うちはおとよさんがこんなんなので、おやつというものはありませんでした。

お腹空いたというと「米食え」と返されるだけ。

*代々続く農家なので田畑はたくさんあり、お米は売るほどありました。

 

なので、コーラとチョコパイとか、炭酸のジュースにお菓子なんて、うちにはないもので、滅多に食べないものでした。

初めはコーラが飲めなくて、頑張って飲んだのを覚えています。

 

ある時、いつもおやつを出してくれる奥さんが困った顔をして、牧師の御主人と話をしていました。

内容はお財布を落としてしまったと・・・。

お金はそんなに入ってないが身分証明書が入っていたと・・・。

それはそれは気を落としていました。

 

今なら、身分証明書を落としたらその後の手続きなどとても大変と分かりますが、

当時はそこまでよくわかっていなかったのもあって、

落としちゃったんだぁ、かわいそうにくらいしか思わなかったです。

 

で、そのことはそれ以上深く考えずに正に他人事として私の中で処理されていました。

 

 

しばらくして、私が保険証を使いたくて、大切なものが入っている引き出しを開けようとしたら、その時に限っておとよさんは引き出しを開けるのを拒みました。

「そこは開けるんじゃねーよ」と。

なんで?

と思いましたが、保険証が必要なのを説明して出してもらいました。

 

いつもは大丈夫なのに、なんでダメなのか?

気になってしまい、おとよさんがいない時にコッソリ引き出しを開けました。

 

 

 

・・・・・・・っ?

見知らぬお財布・・・???

 

この時点で嫌な予感がしました。

そう言えばお財布なくしたって人がいたっけ?

お財布をあけ、中を見ました。

お金は入っていませんでした。

その代わり身分証明書が入っていました。

確認してみると、奥さんの顔写真付きの身分証明書。

 

…やっぱり。

 

おとよさん

落ちてるお財布拾って持って帰ってきちゃったんだ……。

恐らく、お金目当て。

お金はネコババして、お菓子とかアイスクリーム買って食べたんだ。

 

お財布を拾って、お金をネコババして、買い食いしている姿が容易に想像出来ました。

おとよさんならやりそうだなと。

 

おとよさんにとって、身分証明書は必要ないです。

これで悪いことする能力もないし。

何故?

保管していたか?

今となっては理由なんてわかりませんが。

ネコババしたものの、お金以外はどうしたら良いのか?

わからなかったのでしょうね。

 

 

お財布泥棒と被害者

 

どちらも知っている人

 

中学生という思春期の多感な時期

 

恥ずかしい

惨め

申し訳ない

一言では言い表せない複雑な心境です。

 

そして、犯人を知っているのに黙っている。

これを誰にも言えない。

結果、犯人の片棒を持つ。

泥棒の娘に成り下がった。

 

私の自尊心下がりっぱなし。

 

いつも自身のない私。

いつも、知っているのに、出来るのに、分からない振りしてる。

行動に起こすためには

「自身持って」

と言い聞かせないといけない。

 

子供の頃の環境って、

人格形成するのに、やっぱり大切。

これでも、時間をかけて克服してきたけど。

強靱な精神力を得たのと引き換えに失った物というか私の闇は大きかったです。